根占真一
部署名 : 先端素材ビジネスユニット所属
テーマ【必要不可欠なもの】
すでに確立された市場で、新しいスペックを築く
根占真一氏は、とても優しい目をしている。
その目で彼は、「一流」の仕事を見続けてきた。
「この仕事の魅力は、世界の『一流』とビジネスができること」と、 根占氏は言う。

根占氏が所属する先端素材ビジネスユニットは、航空・宇宙機体の製造に欠かせない構造接着剤や複合材の輸入、販売を手がける。例えば、ボーイング747フラップ用の構造材(プリプレグ)ひとつとってみても、Cytec Engineered Materials(米)、重工K社、ボーイング(米)といった業界の一流企業とビジネスが行われる。ちなみにプリプレグは、ガラス繊維、ケブラー繊維、炭素繊維等に樹脂を含浸した材料。軽量かつ、耐熱性、耐衝撃性(高強度)、耐湿性に優れているため、ほとんどの航空機に使われている重要な構造材だ。

もっとも、この案件もすぐにまとまったわけではない。
「非常に粘り強い交渉になりました。ボーイング社との交渉では、まず、日本のメーカーが織ったガラス繊維織物を使ったプリプレグである必要性を理解してもらうことからはじめました。一方、CYTECには、当社や重工K社とのビジネスメリットを理解してもらう必要がありましたし、重工K社とCYTECとの長期契約により、生産と出荷を確保する必要もありました」

そもそも航空業界というのは、製品のスペック(仕様)を重んじる業界である。アメリカには(例えばボーイング)、アメリカの基準があり、ヨーロッパには(例えばエアバス)、ヨーロッパの基準がある。且つ、十分なテストと、実績に裏打ちされた信頼できる製品でなければ、いかなる航空機メーカーも認定しない。

実は、部材のスペックは、60年代から70年代に作られたものが多い。B747用部材にしても、同機が誕生した1970年当時のスペックが、今もまだ生きている。30年以上の実績が、安心して使える部材の保証であり、安心してつきあえる企業の証なのだ。

「すでに確立された市場ですから、新しいスペックを認定してもらうことは難しい。プリプレグの案件では、ボーイングから、重工K社向けの独自のスペックを認定してもらったのですが、これが非常に苦労しました」

同BUのプロジェクトは、長期契約が結ばれ、受発注がなされた時点で終わりではない。神経を使うのは、契約が結ばれた後だ。

定められた期日通りに出荷され、納入されているか。運搬、保管方法に間違いはないか。顧客の受け入れ試験の結果はどうか——————。

手違いひとつが、信頼も実績も総崩れにする緊張感は、人命に関わる仕事であるが故。ようやく「業務完了」の文字が見えてくるのは、本機での使用が完了する最後の最後だ。

「CYTECからは毎週出荷がありますし、部材は、−18℃(0°F)保管を定められているもの、輸送方法が細かく決まっているものなど、さまざまです。スペックとマニュアルに従って任務を果たすわけですが、新しいプロジェクトというのは、通常ではあり得ない事が起こる確率もあります。結局、目が届く範囲のことは、実際に見て、ひとつひとつ確認することが必要不可欠なのです」

根占真一氏は、とても優しい目をしている。
その目で彼は、「完璧」に遂行されていく業務を見守っている。

(取材日・3/30)





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