佐々木信二
部署名 : エンジンビジネスユニット所属
テーマ【安全を売る】
「飛行機は、浮力がなければ飛べません」と、佐々木信二氏。
彼は20余年、航空機エンジンと安全に携わってきた。
浮力は、エンジンがあってはじめて生まれるものである。つまり、エンジンの価値は飛行機そのものの価値であり、飛行機の安全性を左右するのは、エンジンなのである。
「例えば、車のエンジンに不具合が生じたら、ゆっくりと道路の端に寄せればいい。船なら浮力がありますから、救援を待つことができます。でも、飛行機は、エンジンが止まれば必ず落ちる。大勢の命が失われます。我々は技術屋ではないため、エンジンの品質に直接携わっているわけではありませんが、我々が扱っているエンジンに、不具合は絶対に許されないのです」
飛行機は、あらゆる交通機関の中で、最も安全な乗り物として認識されるようになった。最近では、機体デザイン、居住性、テクノロジーの進化も目覚ましい。しかし、すべての進化は、「安全」の上に成り立つのである。
「機体に関わる仕事と比較すれば、我々エンジンBUの仕事は地味ですよ(笑)。ただ、エンジンは、人間でいえば『心臓』のようなもの。エンジンを扱うことは、『安全を売る』ことと言っても過言ではありません。それを仕事にしているという自負があります」
佐々木氏が属するエンジンBUが扱っているのは、Honeywell社製のエンジン。オリジナル設計・製造はHoneywell社、製造・整備は川崎重工、サポート業務は丸紅エアロスペースという3社によるチームで、自衛隊、警察、消防ほか官公庁のヘリコプタに搭載されている。
実は、業界全体を見ても、ヘリコプタを含む中小型機の事故は、減少している。その背景には、Honeywellなどメーカーの技術の進歩、整備の技術の進歩などがある。その中で、丸紅エアロスペースは商社としての機能を果たす。
「整備面での基準で比較してみると、日本の方が厳しいんです。例えば、日本ではオイル漏れが発生したら、漏れる量を計量し、マニュアルを調べ許容範囲内であるか否かの確認をし、さらにこれから漏れる量が増加した場合に備え準備します。ところが海外の場合、漏れ方をパッと見だけで『それはオイルが回っている証拠』と言って放置され場合が多々あります。同一の整備マニュアルを基に整備しても感覚の差によって違いが生じます。そのギャップを埋めるため、商社が必要とされるのです」
製造と整備、双方の言い分を相手に伝えるだけでは、議論は平行線を辿るだけ。同BUが、それぞれが納得できる着地点を探すことにより、3社ははじめてチームとして機能するといえるだろう。
このチーム力を武器に、同社は現在、官需市場でのシェア拡大目指している。新規市場への参入は、丸紅エアロスペースにとって大きな意味を持つ。というのも、航空事業は、20〜30年という機体の寿命がサイクルとなる。丸紅エアロスペースが代理権を持つエンジンが採用されるかどうかが、今後20、30年を影響するのである。
「そういう意味では、0か、100かのプロジェクトとも言えますね。3社チームのサポート体制が顧客満足度(Customer Satisfaction)を高めています。
Honeywell社、川崎重工とともに築いてきた実績がCustomer Satisfaction の証明であり、それが我々にとって最大の武器といえるでしょう」
安全という実績を積み、未来の礎を作る佐々木氏の仕事は、自らが言うように「地味な仕事」かもしれない。しかし、その真摯に取り組みが、近く、きれいな花を咲かせるかもしれない。
(取材日・3/30)
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